季節が健康に及ぼす影響は少なくありません。

東洋医学においては、人体を含め自然界に存在するすべてのものを五つの要素に分類し、全体のバランスをとっていると考えます。(五行説)

五臓に関しては「肝=春」「心=夏」「脾=土用」「肺=秋」「腎=冬」となります。

ここで言う臓器・身体諸器官は、一般的に言われる肝臓や心臓では無く、より広い意味で解釈されています。

 

 

 

 


「肝」の影響が強くなる季節。

「肝」は西洋医学で言う肝臓機能の他に、「気」「血」のコントロールを司ります。

「肝」の働きが悪くなると落ち込んだり、生理不順になったりします。

逆に働きが強くなり過ぎると、イライラや頭痛等が惹き起こされます。

従って「肝」の機能を適度に活性化する事が、春に出易い不具合の予防・改善の為に

重要となります。


 春に多くなる身体的不具合

頭痛、肩こり、イライラ、のぼせ、めまい、腰痛、目の不具合

鼻の不具合、血圧の異常、倦怠感 等

 

また、薬膳ではこの季節を『養陰補肝』と言い、肝臓の機能を高め「気」「血」の流れ

を良くする食事を勧めています。


「心」の影響が強くなる季節。

「心」は西洋医学で言う心臓機能の他に、「精神」「思考」「意識」等、脳に関連する

働きを有します。

「心」の機能が低下すると、血の巡りが障害され、臓腑の機能も低下します。

胸の痛みや、精神の不安定、物忘れ等が惹き起こされます。

古来「心」はすべての生命活動を統率すると言われており、訳のわからない身体の

不調は、「心」の機能低下によるものかもしれません。


 夏に多くなる身体的不具合

動悸、不眠、健忘、精神不安定(ドキドキ、ソワソワ)

内臓諸器官の不具合、血圧の異常、 等

薬膳ではこの季節を『補陰養心』と言い、心臓の機能を高める食事を勧めています。


土用
は四季の変わり目毎にあり、「脾」の影響が強くなる季節

西洋医学で言う脾臓の機能は、免疫機能、造血機能、血液の貯蔵等ですが「脾」は

飲食物から栄養を抽出し、全身に運ぶ役目や体液を循環させる働き、血液を統轄調整し

出血を防ぐ役割も担っています。

従って「脾」の機能低下により、消化吸収機能や泌尿器機能の低下あるいは出血性の

異常等が惹き起こされます。 


 土用に多くなる身体的不具合

腹部膨満、消化不良、食欲不振、吐き気、全身倦怠感、むくみ、やつれる

味覚異常、月経過多、血便、血尿 等 


「肺」の影響が強くなる季節。

「肺」は西洋医学で言う肺機能よりも広義に捉えられており、呼吸機能に関連する

臓器全般をさしています。

五行で言う「臓」、「腑」は「主」、「従」の関係をなしているため「肺」(主)の

機能が低下すると、「大腸」(従)の機能も阻害されます。

「肺」による規則正しい呼吸は、生命活動の根幹である『気・血・律液』を適切に

コントロールし、代謝機能を活性化させます。 


 秋に多くなる身体的不具合

呼吸不全、胸部痛、鼻水、鼻づまり、嗅覚障害、咳、痰、便秘、排尿困難

発汗異常、肌荒れ、皮膚のかゆみ、吹き出物、 等 

薬膳ではこの季節を『培陽潤肺』と言い、肺を潤し、寒さに向かい抵抗力をつける為

食事を勧めています。


「腎」の影響が強くなる季節。

「腎」は人体の生命活動を維持する為の基本的なエネルギー源である『精気』を貯蔵し、

活用する機能を受け持っています。

『精気』にはもともと遺伝的に蓄えられている『先天の精気』と飲食物から作られる

『後天の精気』があります。

『精気』は成長、発育、生殖活動に関わっており、体液の代謝機能を調整する働きも

有しています。

「腎」の機能が低下すると、発育不良、骨や毛髪に異常が出たり、生殖機能に不具合

が生じたりします。 


 冬に多くなる身体的不具合

腰痛、膝痛、関節痛、骨格異常、脱毛、耳鳴り、難聴

便秘、下痢、排尿異常、精力減退、不妊 等

薬膳ではこの季節を『補陽温腎』と言い、腎臓の機能を高め、エネルギー代謝を良く

する食事を勧めています。


当院の施術で体内・体外のバランスを調整し、各季節に出易い不具合を

解消しましょう。

そして毎日の食事にも気を配り、再発防止・免疫力アップ・健康維持を

達成しましょう。